家のこと

そして家のことなんですが、

私の親、いつかシンガポールにある家を売るそうです。

 

どういうことかと言うと、

私の実家がなくなって、自分の生まれ育った国に住めなくなる可能性が高くなるということです。

 

シンガポールの賃貸のルールって厳しい上に、

家賃や維持費などもとてつもなく高いので、親の気持ちは分かります。

 

ただ「ここの家は残して、将来私とお父さんで暮らす」って言ってたから、

私が海外で暮らすようになっても、

いつでも戻って来れる家があるのだと思っていました。

 

皆考えは変わるし、だから親がやっぱり日本に暮らしたい、

ある程度日が経ったら、シンガポールの家を老後の蓄えにしたいって思うことは

分からなくもなかったです。

 

でも、それが私にとってどういう意味なのか、

どれだけショックなことなのかってことを私の両親はわからないみたいです。

 

いつかはなくなる家だと二人の間では当たり前だったようですが、

家が高い、なとは関係なく、私の実家がなくなることをなぜ一言

「分かっていると思うけど...」って話してくれなかったのだろうって思いました。

 

私の母に怒りながらそれを伝えると

「あんたが私たちに、もうあなたを気にしないで、自分たちの好きなようにしてって言ったから、私たちはいつか売ることを決めたのに?」

「しかも家から2年後に出るって言ってたでしょ?そしたらもうこの家いらないじゃん」

と言われまして...。

 

そういうことではないっていう私の気持ちは伝わりますかね...笑

 

好きなようにしていいけど、実家を無くすかどうかっていう話って私の中ではとても大きいものだったし、二人の間でそういう約束をする前に相談して欲しかった。

 

2年後に家出るって言うのも、もし父とずっと暮らしていくならっていう話であって、もし父が別の家で暮らすなら、私は更に安定するまでずっといるつもりでいた。

 

だから2年後に出るって言ったじゃんって言われたときに、あ、私ここの家にいてはいけないんだという気持ちになりました。

 

母はきっと、私の言ったことを言い返して、少し気持ちを煽りたかっただけなんだと思うんです。

 

でもなぜかすごく刺さるんですよね。あ、私いてはいけないんだ、私の家ないんだっていう気持ちが止まらなくて。

 

後、私が住んでいようとなかろうと実家は残して欲しいって言うのは誰でも思うことだと思いました。

 

こんなにも簡単に私の大事な居場所を奪い、それを小さなことのように扱える両親の神経が私にはわかりません。

 

自分の両親が理解できないっていうのも、また一つ私にとって悲しいことでもあります。

 

「そんなにシンガポールに住みたいなら、金持ちになって一部屋買えばいいじゃない」

 

母が本気で言っているのか分かりませんが、私には皮肉に聞こえました。

 

母たちが家を買った何十年前と比べて、今の家賃は何倍も高いです。

そして、今私にはお金がないこと、それほど稼げないかもしれないことを分かっている上で、そんなことを言ってくる母親がとても嫌いでした。

 

買えないって言ったら、次は「じゃあただお金がないから、シンガポールに居場所を作ってくれって私たちに言っているみたい」って言うんだろなって思ったらそれもまた辛かったし、悔しかった。

 

確かに私が自分のお金で家をシンガポールで買えていたら、そのときほど怒らなかったかもしれない。

フリーランスという道を選んで貧乏になっているのも私の選択だし、

実際親がここの家を売れば、私はきっと誰かの一部屋で心狭く暮らしていたと思う。

 

でも、だからって実家に暮らせることって感謝することなのかなって思うんです。

 

私がお金を作って、自分で家を買えばいいじゃないかっていう話ではないんです。

 

そこに当たり前のようにあったものが急になくなって、

自分で保とうとしないと消えてしまうものになったことが辛いんです。

 

当たり前のようにシンガポールで生まれ育ち、

学校に通い、仕事に行き、

暮らしていた日々が、

もう努力をしないと入らなくなる。

 

そして努力をして手に入れたとしても、

それは家族の家ではなく、

私の家です。

 

それってまた違うと思うんです。

自分で手に入れた家と

家族でまた皆戻って来れる家って

なんか違うと思うんです。

 

でも私の両親にはそれが通じない。

父も実は誰も暮らしていない実家を日本で残しているんです。

 

現実的な金銭の部分で話したら、確かに父の家を取り壊す必要はないだろうし、

シンガポールのように高い維持費を払う必要もありません。

 

でも父は私の気持ちを知っているはず。

家がなくなるってどういう気持ちなのかを知っているにもかかわらず、

私には「いつかはなくなるって知っていたと思った」って言い放つ父が理解できません。

 

まあ、両親が理解できないわ、家が将来なくなるわ、自分の国に帰って来れなくなるかもしれないわ、

 

そして、なによりずっと避けてきたシンガポール人になるかどうかっていう問題にぶつかるんですよね。

 

シンガポールの永久住民権を持っているのですが、

これはどれだけシンガポールに貢献できているかで更新できるかが変わってくるんです。

 

私、数年したら他の国で暮らしてみたいって思っています。

ただでさえフリーランスという自由な働き方をしている上に、

他の国で働いていたら...私がシンガポール政府ならきっと更新を取りやめていると思います。

 

ということは私の戻れる家は日本だけになります。

 

でも正直言って、家族の中でも私が一番日本在住歴短いんですね。

だから日本は好きだけど、日本で暮らすっていうのは外国に暮らすような気持ちなんです。

 

外国が自分の母国になるって変な気持ちなんです。

もし自分がその国のことが大好きで選んで暮らして5、6年経っているなら分かりますが、

そういう状況ではないので、なんかしっくり来ません。

 

だからシンガポール人になることも考えたんです。

シンガポール人になれば、いつ更新が切れるかってビクビクする必要もないし、

シンガポールで暮らすための福利厚生を100%受けられる。

シンガポールでこれからも暮らすことを考えると、シンガポール人になった方がお得です。

 

でもいざ考えると、結局同じなんですよね。

私は今までずっと日本人として生きてきて、シンガポール人ではなかったわけで、

日本に行って外国人扱いされるのも変な気持ちですし、寂しいです。

 

日本という場所は私にとって外国ですが、日本そのものは私の母国なんです。

どちらかを取れって言われているみたいで正直辛いです。

 

シンガポールで暮らしていきたいし、けど日本人でい続けたい。

なにも失いたくない。

そしてそれは両親が家を置いてくれれば成立する話。

 

確かに私のことを考えずに二人の将来をまず考えてとは言ったけど、

なかなか辛辣なことをしてくるなと思っています。

 

ただ二人は決めたら突っ走るので、

もう私にどうにもすることはできません。

 

両親をもう当てにできないし、

これからもこんなふうに両親の一言に踊らされたくないので、

私は選ばなければいけない。

 

今でなくてもいいわけだけど、

すごく辛い選択だなって思うだけで

結構辛い。